わたしたちの健康2023年2月号 帯状疱疹 症状・治療・ワクチン接種

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ページ番号1004402  更新日 2024年1月26日

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朝霞地区医師会 田口 理史

帯状疱疹は水痘(すいとう)(水ぼうそう)のウイルスが原因で発症する皮膚病です。初期症状は、体の左右どちらかにピリピリ、チクチクした痛みが起こり、小さな水ぶくれや赤い発疹が帯状に拡がってきます。症状は上半身にできると思われがちですが、頭、目、口の中、陰部にもできることがあります。帯状疱疹のできる場所によって症状は異なります。初期の症状はピリピリ、チクチク以外にも、頭痛や腰痛、しめつけられるような胸の痛みなどさまざまであり、発疹ができるまでは帯状疱疹とわからないことが多いです。
頭部や顔面の帯状疱疹では、耳や顔面に神経の症状がでたり、陰部にできると排尿障害を起こすこともあります。

なぜ、治ったはずの水痘が再び帯状疱疹という病気になるのでしょうか。実は日本の成人の90%以上が体内にこのウイルスをもっています。水痘は主に子どもの頃にかかります。水痘に感染すると、ウイルスの勢いを抑える免疫ができて治ります。しかしウイルスが体からいなくなってしまうのではなく、体の神経節という場所に潜んでいるのです。ところが加齢や病気、疲労などで免疫力が落ちると、ウイルスが再び元気になり神経節から神経を通り道にして皮膚の表面に出てきます。その時に神経痛や水ぶくれ、赤い発疹という症状になって表れます。50歳を過ぎると帯状疱疹の免疫が低下し帯状疱疹にかかりやすくなり、80歳までに約3人に1人が発症するといわれています。

帯状疱疹の治療は、ウイルスの勢いを抑える抗ウイルス薬を内服します。重症例では点滴をすることもあります。痛みに対しては、鎮痛薬の内服をし、発疹や水ぶくれなどの発疹には、やぶけて化膿しないように軟膏を塗って治療をします。
日常生活で注意する点は、ゆっくり休養をとり、激しい運動や労働は控えるようにします。体に水ぶくれができると、入浴は控えた方がいいと思われがちですが、体を温めると痛みがやわらぎ、発疹部の衛生状態も保たれますので入浴やシャワー浴はおすすめです。
帯状疱疹が治った後に、3ヶ月以上痛みが続く状態を帯状疱疹後神経痛といいます。帯状疱疹後神経痛とは、ウイルスが神経の周りに傷をつけて生じます。高齢や治療の遅れなどが原因で痛みが悪化し長期間続くことがあります。

この帯状疱疹が最近増加傾向にあります。高齢化や小児への水痘ワクチン定期接種が原因と言われています。小児への水痘ワクチン接種により、水痘にかかる小児が減ってきました。その結果、成人と水痘にかかった小児との接触機会が減り、成人に水痘ウイルスの追加免疫ができなくなっているのです。
日本人成人の90%以上がこのウイルスを持っており、80歳までに3人に1人が帯状疱疹にかかる可能性があります。この帯状疱疹を予防するにはどうしたらいいのでしょうか?
予防にはワクチン接種が有効です。帯状疱疹ワクチンにはウイルスを弱毒化した生ワクチンとウイルスのたんぱく質の一部を成分とした不活化ワクチンの2種類があります。不活化ワクチンは生ワクチンと比べ、予防効果が高く、免疫の低下した人にも使えます。一方副反応が出やすく、2回接種する必要があり、さらに高額です。

帯状疱疹は痛みなどの後遺症も含めて、早めに治療をすれば症状は軽くすみます。
体に痛みを感じて帯状疱疹かな?と思ったら、発疹がなくても遠慮なく医療機関を受診してください。帯状疱疹にかかりやすくなる50歳以上の人は、予防のためのワクチン接種を検討してもいいでしょう。合わせて医療機関にご相談ください。

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