わたしたちの健康2023年1月号 年頭所感
朝霞地区医師会 会長 滝澤 義和
皆さん、こんにちは。医療の現場から新年の挨拶を申し上げます。
日本に初めて新型コロナ感染患者が確認されてから丸3年が経過しましたが、本年はどんな年になる事でしょうか。
新型コロナが社会に落とした影響はさまざまですが、1つ感じているのは、働きたいのに働くことを強制的に抑制された方と、元々忙しいのに、さらに休む間を削って働かざるを得なくなった方とのかい離です。前者は飲食業、旅行、観光業等が代表ですが、営業継続困難でやむなく人員整理や廃業を余儀なくされた中小企業は少なからずあるはずです。エッセンシャルワーカー等を含む後者には、私たち医療関係者も含まれますが、流行拡大時には休日・夜間等時間外労働に応じてきました。これまではなかったPCRセンターや集団予防接種会場への出動、新型コロナ対策関連のWeb会議等、列挙すればきりがありません。これらは通常の診療時間を削るか、時間外に仕事をするしかなく、休日出勤が常態化しています。しかしながら国の進める働き方改革は待ったなしで、医療従事者も例外ではなく、今後どこで折り合いをつけるのかが不透明です。
米国疾病予防管理センター(CDC)は昨年8月に、全米の平均寿命がコロナ禍の過去2年で、2.7年短縮したと衝撃の発表をしました。平均寿命の低下要因は、この期間前半の74%、後半の50%がパンデミックの影響であったと分析されています。厚生労働省の発表では、令和3年の日本の平均寿命は0.1歳短縮しましたが、これは東日本大震災の影響を受けた2011年以来のことです。震災は人々の健康や寿命にも甚大な影響を与えましたが、コロナによる影響はこの程度で抑えられたとみる見方もできると思います。
また、感染による健康被害は、間接的にも影響を与えているかもしれません。糖尿病・高血圧・慢性腎疾患等の通院治療の自己中断、特定健診やがん検診の受診控えにより、さまざまな疾患の早期発見の機会が失われ、重症化してから医療開始となる事などです。その結果、健康維持や疾病管理不良等の健康被害だけでなく、さらに医療費を増大させる事が考えられます。
朝霞地区4市では医師会と協力し、毎年国民健康保険加入者の特定健診受診と医療費との関係を調査していますが、健診非受診者の医療費は高い傾向にあり、健診連続受診者との差が年々拡大している事が確認されています。
コロナ禍を迎え、世界の子どもたちの将来が常に気になっています。物心が付いてから親以外と触れ合う機会が減少し、対面しても適度なソーシャルディスタンスが必要、コミュニケーションはオンラインでのやり取りがほとんどという生活。公共物に触れる前には必ずアルコール消毒し、人と直接肌が触れる事は良くないことだと思う子どもたちが育っていく社会。そこに血の通った人間関係のある将来を期待できるのでしょうか?行き過ぎた価値観を子ども心に植え付けてしまうことにも、コロナ禍の恐ろしさが潜んでいる気がしてなりません。
さて、国内の感染者数累計は、日本総人口のほぼ5人に1人に近づきました。旧型コロナウイルスはSARS、MERS以外に既知の4種類があり、元々いわゆる風邪症状の3割程度を占めると言われていますが、これを恐れる者は誰もいないでしょう。新型コロナウイルスもそろそろ「5番目の風邪コロナウイルスになれ」と切に念じています。ウィズコロナですね。今年から明るい生活、活気ある社会となる事を願いつつ、稿を終えます。
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