わたしたちの健康2026年10月号 炎症性腸疾患

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ページ番号1014052  更新日 2026年10月1日

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朝霞地区医師会 可児 大喜

はじめに

 炎症性腸疾患とは、消化管(主に腸)に慢性的な炎症が起こる病気の総称です。英語のInflammatory(インフラマトリー) Bowel(バウル) Disease(ディズィーズ)の頭文字をとってIBDと呼ばれます。
 IBDは、大腸に炎症が起こる「潰瘍性大腸炎」と口から肛門までのすべての消化管に炎症が起こる可能性がある「クローン病」の2つに分類されます。10代から30代といった若年層で発症することが多いですが、潰瘍性大腸炎では高齢で発症する患者さんも見受けられます。

原因

 根本的な原因は不明とされていますが、さまざまな要因が重なり合って起こるとされています。発症しやすい体質(遺伝病ではありません)、環境因子として食事内容(欧米化など)、腸内細菌、ストレスなどが重なることで免疫システムに異常が起き、自分の腸の粘膜を攻撃してしまう疾患です。

症状

 消化管に炎症が起きることで発熱や長引く下痢、腹痛が出現します。腸が傷ついて出血し、便に血が混じる血便が見られるのも特徴です。栄養を十分に吸収できなくなるため、体重減少や貧血、全身のだるさを引き起こします。
 また、腸管以外の病変として皮膚や眼、関節に炎症が起きることがあります。
 症状が激しく現れる「再燃(さいねん)」の時期と、症状が落ち着いて穏やかに過ごせる「寛解(かんかい)」の時期を繰り返すことが特徴です。

診断

 下痢や腹痛が数週間以上長引く場合や血便が出た場合は医療機関の受診をおすすめします。主に次の検査が行われます。採血で炎症や貧血、栄養状態の把握をします。内視鏡検査(大腸カメラ)にてIBDに特徴的な炎症がないかを診ます。腸の粘膜を採取し(生検)病理の検査をします。クローン病を疑う場合は、胃カメラやCT、小腸を観察するカプセル内視鏡をすることもあります。これらを総合的に判断し、腫瘍や感染症などほかの病気ではないことを確認したうえで診断されます。

治療

 炎症を抑えて寛解に導き、その良い状態をできるだけ長く、再燃しないように維持することが目標です。

●5-ASA製剤:腸の炎症を直接抑える基本となる飲み薬です。座薬や注腸といった局所療法もあります。

●副腎皮質ステロイド:炎症が強い時期に、免疫を抑えて寛解へ導くために使用します。ただし長期使用は副作用があるため、症状が落ち着いたら徐々に減量し中止します。

●免疫調節剤・生物学的製剤:ステロイドが効かない場合や減量すると悪化する場合に使用します。内服薬のほか、点滴や皮下注射の薬があります。

●栄養療法:腸への負担を減らすために脂質を控えた食事管理を行ったり、特にクローン病では消化に負担のかからない専用の栄養剤(成分栄養剤)を服用したりします。

●外科治療:薬で炎症がコントロールできない場合や、腸が狭くなったり穴が開いたり(穿孔(せんこう))した場合には、傷んだ腸を切除する手術を行うことがあります。

まとめ

 潰瘍性大腸炎とクローン病は、国の「指定難病」に登録されています。これは「治らない病気」という意味ではなく「原因が不明で、継続的な治療やサポートが必要な病気」という意味です。
 正しい診断を受け、自分に合ったお薬で炎症をしっかりコントロールできれば学校生活やスポーツ、進学や就職、結婚や妊娠といった未来の選択肢を諦める必要はありません。風邪のように「治ったら終わり」ではなく病気を正しく理解し、上手に付き合っていくことが大切です。私たち医療スタッフも医療面での治療はもちろん、生活面や社会生活の不安にも寄り添い、皆さんが自分らしい毎日を送れるようサポートしていきます。
 

 

 

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