わたしたちの健康2026年9月号 好酸球性副鼻腔炎とは
朝霞地区医師会 関根 大喜
いわゆる蓄のう症とよばれる病気は正確には副鼻腔炎といいます。鼻の周りには副鼻腔という空洞があり、そこに細菌やウイルス、アレルギーなどが原因で炎症がおこり、鼻づまりや鼻水、顔の痛み、頭痛などが現れます。急性と慢性の2種類があります。
そのような副鼻腔炎のほかに、好酸球という白血球(体を病気から守る細胞)の一種がたくさん集まり炎症を起こす副鼻腔炎があります。これを好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせいふくびくうえん)といいます。一般的な副鼻腔炎とは機序や治療法が異なることが特徴です。
【好酸球とは何か】
好酸球は、体の免疫を担当する白血球の一種です。特にアレルギー反応や寄生虫から体を守る働きをしています。しかし、何らかの原因で好酸球が増えすぎると、自分の体の粘膜まで傷つけてしまうことがあります。それが副鼻腔の粘膜でおこった結果、好酸球性副鼻腔炎になります。
【主な症状】
一般的に副鼻腔炎では、
①鼻づまりが長く続く
②粘りけの強い鼻水が出る
③鼻水がのどへ流れる(後鼻漏(こうびろう))
④頭が重く感じたり、顔が痛くなったりする
⑤鼻の中に「鼻ポリープ(鼻茸(はなたけ))」というやわらかいできものができる
⑥においが分からなくなる(嗅覚障害)
などの症状がでます。特に⑤・⑥の症状は、好酸球性副鼻腔炎の特徴の1つです。
【原因】
はっきりした原因はまだ分かっていません。しかし、体の免疫の働きが関係していると考えられています。また、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎がある方や、鎮痛剤(アスピリン)にアレルギーをお持ちの方にこの疾患が多いことも特徴です。
【診断方法】
内視鏡(細いカメラ)で鼻ポリープがあるかを確認し、必要に応じてCT検査を行って副鼻腔の状態を詳しく調べます。また、血液検査で好酸球の数を調べることもあります。手術で取り除いた鼻ポリープを顕微鏡で調べ、好酸球が多く集まっていることが確認されると、診断の助けになります。
【治療】
ステロイドというアレルギーを抑える薬(飲み薬・点鼻薬)が使われますが、十分な効果を得られないことが多いです。薬だけで十分に改善しない場合は、内視鏡を使った手術で副鼻腔を広げ、鼻ポリープを取り除くことがあります。しかし、この病気は手術後に再発しやすく、手術だけで完全に治るとは限りません。
最近では、生物学的製剤という新薬も使われています。この薬は、好酸球による炎症を引き起こす物質の働きを抑えるため、重症の方に効果が期待されています。また、鼻の中を生理食塩水で洗う鼻洗浄を行うと、鼻水や炎症の原因を取り除く助けになります。
【日常生活で気を付けること】
この病気はさまざまな検査で軽症・中等症・重症に分けられます。中等症・重症の方は指定難病に認定されている非常になおりにくい病気です。そのため、症状が良くなっても自己判断で薬をやめず、定期的に病院を受診することが大切です。
喫煙者は禁煙を心がけることも症状の悪化を防ぐ助けになります。気管支ぜんそくがある方は、その治療もしっかり続けることが重要です。
【まとめ】
好酸球性副鼻腔炎は、好酸球が増えすぎることで起こる慢性的な副鼻腔の病気です。普通の副鼻腔炎とは異なり、鼻づまりや嗅覚障害、鼻ポリープなどが特徴で、再発しやすいことも知られています。しかし、薬や手術、生物学的製剤など治療法は進歩しており、適切な治療を続けることで症状をコントロールできます。早めに耳鼻咽喉科を受診し、医師の指示に従い治療を続けることが、快適な生活につながります。
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