わたしたちの健康2026年5月号 子どもの近視抑制治療

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ページ番号1013392  更新日 2026年5月1日

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朝霞地区医師会 宇野 毅

 近視とは「遠くはぼやけて見えるが、近くは比較的よく見える状態」のことです。子どもの近視は6歳以降に進行しやすく、一度進んだ近視の完全回復は難しいため、早期の進行抑制が重要です。

〇医療機関での主な治療法
 子どもの近視進行を抑えるための、科学的根拠に基づいた、複数の治療法があり、いずれも進行を「止める」ではなく「遅らせる」効果を目的とします。

①低濃度アトロピン点眼薬
 夜寝る前に点眼するだけの手軽な治療です。アトロピンは毛様体筋の緊張を和らげ、眼軸(眼球の長さ)伸長を抑えます。濃度は0.01〜0.05%が一般的で、日本やシンガポールで有効性が確認されています。副作用は比較的少ないですが、まぶしさや近見不自由などの副作用を防ぐため、濃度を調整しながら続けることが大切です。

②オルソケラトロジー
 夜間就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装用して角膜形状を一時的に平坦化させ、日中は裸眼で過ごせる方法です。角膜からの網膜像を変えることで眼軸伸長を抑えます。装用の管理が重要で、定期検査を欠かさないことが前提です。

③特殊構造メガネ
 レンズの中心は遠くをクリアに見せつつ、周辺部に小さなレンズをたくさん配置してピントのずれを調整します。コンタクトや点眼より手軽ですが、レンズ代が一般のメガネに比べて高価です。

④近視抑制用ソフトコンタクトレンズ
 遠くと網膜手前の両方にピントを合わせる特殊設計により、眼軸伸長を抑えます。1日使い捨てタイプが主流で、高い抑制効果が報告されています。

⑤赤色光治療
 専用の装置で1回数分間、眼に特定波長の赤色光を照射する新しい治療法です。網膜と脈絡膜の代謝を活性化させることで、眼軸の過伸長を防ぐとされ、近年アジアを中心に注目されています。

 これらの治療はいずれも保険適用外の自由診療に該当することが多く、治療選択は年齢・生活スタイル・近視の程度により個別に判断する必要があります。また、どの方法でも定期的な眼科受診と屈折度・眼軸長のチェックが不可欠です。


〇家庭でできる近視進行抑制
日常生活の改善も重要です。特に「屋外活動」と「視作業の休息」が近視進行の抑制に大きく影響します。

①1日2時間の屋外活動
 近年の研究では、屋外で1日2時間以上自然光を浴びることで近視発症・進行のリスクが有意に低下することが報告されています。太陽光に含まれる波長および広い視野環境が網膜ドーパミンの分泌を促進し、眼軸伸長を抑えると考えられています。学校帰りや週末など、積極的に屋外での活動習慣を作ることが望ましいです。

②20分近くを見たら遠くを見る
 デジタル機器や読書などを行う際は、「20-20-20ルール(20分作業したら20秒間、20フィート【約6m】以上先を見る)」を実践することが推奨されています。これは毛様体筋を休ませることでピント調節の負担減少、近視進行リスクを軽減できます。

③姿勢と照明環境
 読書や学習の際は姿勢を正し、適切な照度(300〜500ルクス程度)で行うことも重要です。目と本の距離は30cm以上を目安にし、暗所での長時間作業は避けましょう。

④睡眠とバランスの取れた生活
 成長ホルモンや眼球発達に関わる代謝は夜間睡眠中に活発になります。十分な睡眠時間を確保し、不規則な生活を避けることで、治療効果を最大化できます。

〇まとめ
 子どもの近視進行抑制には、医療的アプローチと生活習慣の改善が両輪です。万能な治療法はないですが、組み合わせることで高い抑制効果が期待できます。また、家庭と医療機関が協力して継続的に見守る体制を整え、子どもの視力と生活の質を長期的に守ることが重要です。
 

 

 

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