わたしたちの健康2026年6月号 血管炎〜急速に進行する腎炎〜

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ページ番号1013627  更新日 2026年6月1日

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朝霞地区医師会 明石 真和

はじめに
 血管炎とは文字どおり血管に炎症が起こる疾患です。
 血管炎は大型血管に起こるものと小型血管に起こるものがあります。大型血管とは身体の中心を流れる大動脈とそこから分岐した比較的太い動脈のことを指し、小型血管とは臓器に張り巡らされた細動静脈や毛細血管のことを指します。
 ここでは日本人に発症頻度が高い、小型血管に起こる血管炎について述べたいと思います。

小型血管炎
 主に皮膚、呼吸器(特に鼻腔と肺)、腎臓、神経に張り巡らされた細動静脈や毛細血管で炎症が起きます。血管炎は、本来自身の体を守るためにある免疫機能が過剰に反応し、血管を攻撃してしまうことで発症します。過剰に反応してしまう原因はウィルス・細菌感染であることが多いですが、薬剤・喫煙・何らかの化学物質であることもあります。この疾患は遺伝ではありませんが、体質的に免疫反応が過剰に起こりやすい人(例えば喘息など)に発症しやすい傾向があります。

症状
 小型血管炎は、原因や病態によってさまざまな疾患名に分類されます。分類ごとに症状を記述すると専門的になってしまうため、ここでは全体的に起こり得る症状について述べます。
 皮膚では紫斑が認められます。紫斑はアザと勘違いしてしまうことがありますが、アザは指で押しても消えない一方、紫斑は指で押すと消えます。また多くは点状に出現します。
 呼吸器では長期にわたる鼻炎や血痰、呼吸困難などの症状が出現します。神経では痺れ、筋力低下などの症状が出現します。
 腎臓での症状は、はっきりしません。目に見える血尿もほとんど認められません。多くは長期にわたる微熱、体重減少、倦怠感の原因を検査するため医療機関を受診した際に発見されます。
 これらの疾患はご高齢の方に発症しやすい傾向にあります。

急速に進行する腎炎
 血管炎は免疫反応が多臓器を攻撃している状態です。呼吸器では放置したままだと肺出血を起こすことがあります。また腎臓では放置したままだと数週間〜数か月で腎機能が悪化してしまいます。この病態のことを急速進行性糸球体腎炎(RPGN)と呼びます。
 RPGNは早期に診断されなければ、腎機能が損なわれて透析が必要になってしまいます。そのため、前述のような症状が出現し医療機関を受診した際、尿異常や腎機能の指標である血清クレアチニンの上昇が認められた場合は早期の精査、治療が必要となります。

治療
 血管炎を治すためには、免疫反応による攻撃を抑えなければなりません。攻撃を抑えるためにはまず大量の副腎皮質ホルモン(ステロイド)を使用します。ステロイドは免疫反応を弱めることで臓器への攻撃を抑えてくれます。一方で長期にわたり大量に使用していると、免疫力低下、高血糖、胃潰瘍、肥満、骨粗しょう症といった副作用が出現します。そのため、投与量を徐々に減量させる必要があります。その際、免疫反応の攻撃に隙を見せないよう免疫抑制剤を併用します。近年では過剰な免疫反応の原因をピンポイントで抑える、バイオ製剤・分子標的治療薬と呼ばれるものも使用されています。
 ステロイドやこれらの製剤・治療薬を早期に使用することで、悪化した腎機能は改善する可能性が高まります。

まとめ
 2023年の統計によれば、人工透析療法が必要な腎不全の原疾患として「血管炎によるRPGN」は全体の約1〜2%とされています。それほど多くはありませんが、早期の診断、治療によりさらに割合を低下させることが可能な病態です。RPGNに限らず血管炎がもたらす病態は生命に関わるものが多いことから、特にご高齢の方で長引く風邪症状や体調不良を認める場合は注意が必要です。

 

 

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