まちの見聞特派員レポート 広報わこう令和4年12月号掲載記事
看板車は夢をのせて
まちの見聞特派員
金澤 里美
土手の桜並木を目指し、子供を乗せた自転車で柳寿司を北上する。目の前に広がるのは、ずらりと並んだ大物歌手の満開の笑顔のトラック。
「看板車」という言葉を耳にしたことはありますか?アーティストの宣伝写真でラッピングされた大型トラックのことで、舞台セットや音響設備、照明機材、楽器、衣装や会場で販売するグッズなどを運びます。アーティスト本人もデザインや写真選びに力を入れた、まさに走る看板です。好きなアーティストを応援する「推し活」という言葉がひろがりをみせる今日このごろ、看板車は推し活をするファンの思い出の一コマを飾ります。
物を運びながらファンの夢や喜びも運ぶ看板車は、ここ和光市からも出発しています。トラック前面の「WAKO」の文字がアーティストのブログに登場することもしばしばあり、コンサートツアーの大切なお供としての存在感は抜群です。一方、看板車の準備は忙しく、中でもアーティストの事務所からの看板画像データの到着がツアー初日の前日になり、それから印刷してラッピングしたというエピソードはハラハラせずには聞けません。その綿密に組み込まれたスケジュールは、和光トランスポート事務所内の大きなホワイトボードにびっしりと書かれていました。
トラック20台のスケジュール、運転手たちのスケジュールが書き込まれた3枚のホワイトボードが真っ白になったのは、今までに2回。東日本大震災直後と、新型コロナ拡大で自粛が続いた時です。もしも看板車の会社がなくなってしまったら…音楽ファンとして心配したのは筆者だけではないと思います。その危機を乗り越え、今年の夏から年末まではトラックが足りないほどということです。
新型コロナ流行以降のコンサートの観賞は歓声をあげることや一緒に歌うことは禁止され、拍手で応援するのが主流です。大好きなアーティストが舞台に登場した時にあげた歓声は、安全な日々の証かもしれません。全国各地のファンの拍手、そして黄色い歓声を浴びた機材を運ぶ日が、またいつかきますように。

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