わたしたちの健康2025年7月号 脳卒中のタイプと予防方法

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ページ番号1012386  更新日 2025年7月1日

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朝霞地区医師会 奥村 義朗

 脳卒中には様々な種類のものがありますが、脳梗塞と脳出血に大別されます。
 脳梗塞は、脳の血管が詰まり血が流れなくなることから一部の脳組織が死んでしまう病気です。動脈硬化によって血管が細くなるために引き起こされるタイプと、心臓などから血栓(血の塊)が脳に流れ血管を詰まらせるタイプがあります。動脈硬化によって細い血管が詰まるタイプをラクナ梗塞といい、太い血管の動脈硬化が原因となるものをアテローム血栓性脳梗塞と言います。不整脈(心房細動)が原因で心臓から血栓が脳へ流れるものを心原性脳塞栓症と言います。
 脳出血は、文字通り脳に出血を来す病気です。高血圧性脳出血とクモ膜下出血があります。高血圧性脳出血の原因は、高血圧が原因で細い脳血管が破綻して出血をきたすもので、クモ膜下出血は脳動脈瘤などの血管病変が破裂することにより生じます。

 脳卒中は、発症後の治療も重要ですが、何より予防が重要です。ここでは、脳卒中にならないために日々の生活で実践できる生活習慣のポイントや治療を解説します。

1. 高血圧の管理
 脳卒中の大きな危険因子の一つが高血圧です。特に高血圧性脳出血と強く関連しています。高血圧の予防・管理には以下の生活習慣が効果的です。
減塩:1日の塩分摂取量は6g未満が理想とされます。和食は塩分が多くなりがちなので、醤油や味噌の使用量に注意し、味噌汁やうどん、そば、ラーメンなどの汁物に注意しましょう。
適度な運動:有酸素運動を継続的に行うことが血圧の安定に効果的です。
適正体重の維持:肥満は高血圧を悪化させるため、BMI(体格指数)25未満を目指しましょう。

2. 糖尿病・脂質異常症のコントロール
 糖尿病や脂質異常症も動脈硬化を進行させ、脳梗塞のリスクを高めます。これらを防ぐには以下の生活習慣が重要です。
食事の質を改善:精製糖や脂肪の多い食品を控え、野菜・魚・大豆製品・海藻などを積極的に取り入れましょう(地中海食や和食が理想的)。
定期的な健康診断:空腹時血糖、HbA1c、LDLコレステロール、中性脂肪を健診などでチェックし、異常があれば早めに治療しましょう。

3. 喫煙と飲酒を避ける
 喫煙や飲酒は、脳卒中全体のリスクを高めるとされています。認知症のリスクも上昇するため、飲酒や喫煙はできるだけ避けるようにしましょう。タバコからの煙は、喫煙者だけでなく周囲の人に対しても悪影響を及ぼすため注意が必要です。

4. 不整脈(心房細動)の早期発見と治療
 心原性脳塞栓症の多くは心房細動と呼ばれる不整脈が原因です。心房細動は自覚症状が乏しいことも多いため、以下の習慣が重要です。
脈拍チェック:脈の乱れに気づいたら内科や循環器内科を受診し、心電図などでチェックしてもらいましょう。一時的な不整脈の場合、受診時の心電図検査では異常を発見できないことがあります。一部のスマートウオッチにて心房細動をチェックできるものがあります。
早期の抗凝固療法:心房細動が確認されたら、医師の判断のもとで抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を使用し、脳梗塞を予防しましょう。

5. 水分補給
 脱水は血液粘稠度を高める(血液がドロドロになる)ため、脳梗塞の誘因になります。夏場・起床後・入浴後などは水分摂取を意識しましょう。

6. MRIなどの画像診断
 健康診断や脳ドックなどで、頭のMRIや頚動脈エコーを行い、事前に血管病変や隠れ脳梗塞などの調べることが重要です。動脈が細くなっている場合は、抗血小板薬“血をサラサラにする薬”などを用いて脳梗塞を予防することができ、脳動脈瘤(血管のコブ)に対してはカテーテル治療や手術を破裂前に行う事が出来ます。血管の異常を指摘された場合は、脳神経血管内治療科など専門医の診察をお薦めします。

まとめ
 脳卒中は「ある日突然襲ってくる病気」ですが、多くの場合は長年にわたる生活習慣の積み重ねが背景にあります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、心房細動などのリスク因子を意識し、食事や運動、生活習慣などで防ぐことが可能です。また、健康診断や脳ドックなどで事前にチェックをし、異常が指摘されたら専門医に相談してください。

 


 

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