わたしたちの健康2025年2月号 サプリメントと腎臓病

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ページ番号1011868  更新日 2025年2月1日

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朝霞地区医師会 明石 真和

はじめに
 昨年、あるサプリメントの摂取により腎障害を発症したという報道がありました。はっきりとした原因は特定されていませんが、製造過程で混入した青カビ由来の物質が腎障害を惹起(じゃっき)したのではないかという報告が今のところ一番信用されています。
 この一件で、サプリメントイコール腎機能障害という考え方が根付いてしまった方もいると思います。実際サプリメントは腎臓に悪影響があるのでしょうか。


サプリメントとは
 栄養補充を目的とした栄養補助食品のことを指します。健康補助食品(青汁等)や市販されたり処方されたりする薬剤とは違い、主に食事で不足しがちな栄養素を補うためのものです。基本的にサプリメント自体に薬剤が含まれていることはないため、腎臓に悪影響が及ぶ可能性は低いと考えられます。


サプリメントと腎臓病
 主な腎機能とは①老廃物の排泄 ②体液量の調整 ③ミネラルバランスの調整です。現在腎機能の指標は、ある計算式に血中クレアチニン(Cre)濃度、年齢、性別を当て込めて算出されるeGFRという数値が使用されています。この数値が60を下回っている方は腎機能低下の可能性があります。このような方やご高齢の方は後述するサプリメントの摂取に注意していただく必要があります。
1.タンパク質、アミノ酸を含むサプリメント
 上記のサプリメントは主に筋肉を鍛えたり維持したりすることを目的として用いられます。摂取したタンパク質はアミノ酸に分解されて身体に吸収されます。
 筋肉は主にタンパク質で構成されていて、Creは筋肉を使用した際に生じる老廃物です。そのため筋肉量が多い人ほどCreは高値になります。前述のような目的でタンパク質やアミノ酸を含むサプリメントを摂取すると、Creが上昇しeGFRが低下する可能性があります。その結果、腎機能低下と診断されてしまいます。また、腎臓病と診断されている方はCreをさらに上昇させます。
 以上の理由からこれらのサプリメントを摂取する場合、使用量に十分注意する必要がありますし、場合によっては中止することが必要です。
2.ビタミンD、カルシウム(Ca)を含むサプリメント
 上記のサプリメントは主に骨の健康維持と骨粗鬆症予防に用いられます。一方で過剰な摂取は高Ca血症や腎臓へのCa沈着を起こす可能性があります。また、ご高齢の方や水分摂取量が少ない方などでも同様のことが起こり得ます。
 骨粗鬆症予防目的のため整形外科で内服加療中の方、腎臓病で加療中の方は、すでにビタミンDやCaを含んだ薬剤を処方されていることがあるため、主治医に相談する必要があります。
 その他に骨関連でグルコサミンやコンドロイチンを含んだサプリメントがあります。これらが腎機能に悪影響を及ぼす可能性は低いとされています。ただし、腎臓病と診断されている方は腎臓に負担をかけて腎機能低下を助長させる可能性があります。
3.カリウム(K)、マグネシウムを(Mg)含むサプリメント
 上記のサプリメントはミネラルバランスを守る目的で用いられ、主に全身の疲労回復効果があります。しかし、腎臓病の方がマルチミネラルサプリやウコンなどKやMgを含むサプリメントを摂取すると、これらのミネラルが蓄積し、高K血症や高Mg血症などの疾患を発症する可能性があるため注意が必要です。


おわりに
 今回、腎臓に関連する主なサプリメントを挙げました。他にも貧血改善目的のものなどがありますが、これらに関しては今のところ腎臓と関連した報告はありません。しかし、どのサプリメントを摂取するにしても注意は必要です。基礎疾患のある方は主治医と相談し、ない方も過剰摂取は避け、十分な水分摂取を勧めます。

 

 

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