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まちの見聞特派員レポート 広報わこう28年12月号掲載記事の詳細記事

2016年12月06日 18時38分

野球の神様が和光に!!

まちの見聞特派員 森田 美樹

 『広報わこう』12月号のまちの見聞特派員レポートでも紹介している『北口箭(や)弓(きゅう)稲荷神社』について、もう少し詳しく紹介したいと思います。

 その前に、「稲荷神社とは何か」、ということに触れたいと思います。

 稲荷神社には、稲(いな)魂(だま)、つまり稲の神様が祀られていると言われています。そして全国各地に勧講されています。もともとは稲の豊かな実りに代表されるような五穀豊穣を祈る場所でした。

 東松山市にある箭弓稲荷神社は、五穀豊穣はもちろん、時代が変わるにつれ、芸人衆から信仰されたり、あるいは商売はんじょう繁盛の神様としても祀られるようになったそうです。

 そんな稲荷講中が結成されて広まる中、大正9年、現在の冨岡幸男氏の宅地内に箭弓稲荷神社がこの地域の守護神として、東松山の箭弓稲荷神社より分社されて勧講されたと伝えられています。当時は農村地帯であったため、作物の五穀豊穣はもちろん、村民の安泰や家内安全を祈願していたとされています。現在、大小百余りの講社があり、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全の守り神と共に、交通安全、厄除け、火難除け、開運、学業成就、芸能向上などの祈願社として信仰を集めているそうです。

 今回、お話をおうかがいしたのは、四代目講元代表である冨岡健治さんです。

 講元というのは、神仏参詣の講中(こうじゅう)(講(こう)(信仰者の団体)を作って神仏に詣でたり、祭りに参加する信仰者の集まり)で、中心となって世話をするという役目を担っている方のことです。

 大正9年に創建された神社は、昭和時代に一度御社の向きを変えられ、その後は去年、平成27年初午に再建立され、御社が新しくなりました。

 「この神社、お賽銭箱がないから作ってほしい、って言われてね」と、健治さん。そこで、御社を新しくした時にお賽銭箱も作られたそうです。

 もともと、大正年間、この辺りに農家が多かったということで、五穀豊穣を祈ってこの地に神社を祀ろう、ということになり、建立の話が進められたそうです。

 「大正の頃、寄付してもらうため、三芳町から練馬の辺りまで、講元が歩いて回ったそうです」と、健治さん。また、初代の狛犬は、朝霞の方からの寄付だったそうです。

 さて、この北口箭弓稲荷神社のビッグイベントが、『初午(はつうま)祭』です。旧暦の2月、現在の3月最初の午の日に、創建以来、毎年行われています。

 初午の前日に東松山市にある箭弓稲荷神社に講元さんたちがお札をいただくためにお参りに行かれます。そして、お札を持ち帰り、北口箭弓稲荷神社に祀ります。それから、幟を立て、御社の掃除をし、夜を迎えます。その夜に開かれるのが『宵宮(よいみや)』と呼ばれるもので、本祭りの前夜に行うお祭りです。そして翌朝、講元さんが準備した赤飯や御神酒、煮しめ、めざし、そしてお稲荷さまの好物である油揚げをお供えします。やがて、初午祭が終わりを迎えると、その後に神前に供えた御神酒をみんなでいただく『直会(なおらい)』行われ、お祭りも終了を迎えます。

 「昭和47、8年頃まではこの地区の小学生が6年生を親方に、夜、10人くらい集まって、神社で太鼓を叩いたりしていましたね。そして、夜10時くらいまでは、ろうそく代をください、と言ってお菓子を持って配って回っていましたよ」と、健治さんが、懐かしそうに話してくれました。

 時代が変わり、子どもの数も少なくなってきて、以前とまったく同じ宵宮や直会をできなくなったことは冨岡さんだけではなく、私自身も少し寂しさを憶えました。

 北口箭弓稲荷神社がこの地に生まれ、96年経ち、現在の和光市も創建時とは随分変わってきたと思いますが、神様はずっとこの町を見守ってくれていることでしょう。

 そして、そんな神社を今も変わらず崇敬し、後世に受け継いで行くべく、神前に奉仕してくださっている講元さんに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

  

※この記事は、講元の冨岡幸男さんからお借りした、新倉氷川八幡神社社史編纂室による『新倉氷川八幡神社社史』を参考に書かせていただきました。

北口箭弓稲荷神社 和光市新倉1-10-85

参考資料 石碑 神社の祠