まちの見聞特派員レポート 広報わこう平成26年12月号掲載記事
つるし雛
まちの見聞特派員 伊藤 芳夫
数年前より、和光市のイベントとして行われている「白子宿きもの散歩」をご存知の方は多くいらっしゃると思います。コミュニティセンターや周りの商店の軒下に「可愛いつるし雛」が飾られているのを気付かれましたか。地域の思いやりを感じる、心和む微笑ましい光景でした。
10月中旬に行われた「川越まつり」では、重厚感あふれる蔵造の街並みに飾られた「つるし雛」に心の通うおもてなしが感じられて感動的に映りました。
そもそも「つるし雛」の始まりは、江戸時代といわれています。当時、特別裕福でない一般庶民の家では、雛人形はとても高価なもので、なかなか手に入るものではありませんでした。
しかし、生まれてきた子どもの幸せ・成長を願う家族の思いや気持ちは皆一緒です。
母親、祖母、叔母さんたちから近所の人たちまで、みんなで少しずつ小さな人形を作り、持ち寄って飾られたのが始まりです。
みんなの想いをいっぱい詰め込んで作られた、心温まるのが「つるし雛」。そして、赤ちゃんの大事なお守りとして、とても大切にされてきました。
その後、初節句、良縁、長寿、魔除け等、無病息災を祈願して、ひな壇の両脇や、千客万来を願い軒先に飾るもてなしが地域の風習として残っているところがあります。「つるし雛」の種類は、糸巻き・いちご・犬など百数十種類あるといわれています。
現代では、平成5年頃より稲取温泉で観光の目玉として街を挙げ、商店の軒先に展示したのが始まりです。
和光市では、市内在住の手芸家が教室を開き、多くの市民に指導しています。「白子宿きもの散歩」に展示している私たちの団体に毎年ご指導いただき、市民まつりに飾られていた「つるし雛」は、会員や多くの協力者の努力により制作されたもので、たくさんの市民の目に触れたのではないでしょうか。
今後も、年数回ですが制作日を設定し、「良縁」「長寿」「無病息災」を願い、「美しいまちづくり」のために、多くの人の協力を得て続けていきたいと思います。もし興味があり、ご協力いただける方は、市民活動推進課までご連絡お願いします。