睡眠と休養
睡眠には、心身の疲労を回復し、ストレスを解消する働きがあります。
現代の人を取り巻く環境は、仕事や勉強、インターネットやゲームによる夜型生活など、睡眠不足や睡眠障害のリスクが高くなっています。
快適な睡眠は、明日への活力を養い、生き生きとした健康な生活のためにとても大切です。
また、睡眠の問題が生じると、体だけでなくメンタルの健康も損なわれます。
自分に合った「快適な睡眠」を見つけましょう。
健康づくりのための睡眠指針
厚生労働省は、平成26年3月に「健康づくりのための睡眠指針2014」を作成しました。
指針では、良い睡眠のための生活習慣・環境や睡眠不足、睡眠障害の予防などについて「睡眠12箇条」としてまとめられています。
厚生労働省:「健康づくりのための睡眠指針2014」 (1020KB; PDFファイル)
睡眠12箇条
○ 第1条 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
良い睡眠で、からだの健康づくり
良い睡眠で、こころの健康づくり
良い睡眠で、事故防止
睡眠には、心身の疲労を回復する働きがあります。このため睡眠が量的に不足したり、 質的に悪化したりすると健康上の問題や生活への支障が生じてきます。 睡眠時間の不足や 睡眠の質の悪化は、生活習慣病のリスクにつながることがわかってきました。
また、不眠がうつ病のようなこころの病につながることや、睡眠不足や睡眠障害による 日中の眠気がヒューマンエラーに基づく事故につながることも明らかになっています。
この指針では、睡眠について正しい知識を身につけ、定期的に自らの睡眠を見直して、 適切な量の睡眠の確保、睡眠の質の改善、睡眠障害への早期からの対応によって、事故の 防止とともに、からだとこころの健康づくりを目指しています。
○ 第 2 条 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
定期的な運動や規則正しい食生活は良い睡眠をもたらす
朝食はからだとこころのめざめに重要
睡眠薬代わりの寝酒は睡眠を悪くする
就寝前の喫煙やカフェイン摂取を避ける
適度な運動を習慣づけることは、入眠を促進し、中途覚醒を減らすことにもつながりま す。また、しっかりと朝食をとることは朝の目覚めを促します。これらの生活習慣によっ て、睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることができます。一方で、就寝直前の激しい 運動や夜食の摂取は、入眠を妨げることから注意が必要です。
就寝前にリラックスすることは入眠を促すために有効です。一方、就寝前の飲酒や喫煙 はかえって睡眠の質を悪化させるため、控えた方がよいでしょう。睡眠薬代わりに寝酒を 飲む習慣を持っている人が男性で多いことがわかっています。アルコールは、睡眠薬代わ りに少し飲んでいる場合でも、慣れが生じて量が増えていきやすいことが知られています。 アルコールは、入眠を一時的には促進しますが、中途覚醒が増えて睡眠が浅くなり、熟睡 感が得られなくなります。また、ニコチンには覚醒作用があるため、就寝前の喫煙は入眠 を妨げ、睡眠を浅くします。
寝酒や喫煙は、そもそも生活習慣病の発症・重症化の危険因子になるとともに、直接、 睡眠の質を下げるだけでなく、睡眠時無呼吸のリスクを増加させるなど、二次的に睡眠を 妨げる可能性も指摘されています。
就寝前 3~4 時間以内のカフェイン摂取は、入眠を妨げたり、睡眠を浅くする可能性があ るため、控えた方が良いでしょう。これは、主にカフェインの覚醒作用によるもので、こ の作用は 3 時間程度持続します。また、カフェインには利尿作用もあり、夜中に尿意で目 が覚める原因にもなります。カフェインは、コーヒー、緑茶、紅茶、ココア、栄養・健康 ドリンク剤なども多く含まれています。
○第 3 条 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
睡眠不足や不眠は生活習慣病の危険を高める
睡眠時無呼吸は生活習慣病の原因になる
肥満は睡眠時無呼吸のもと
睡眠時間が不足している人や不眠がある人では、生活習慣病になる危険性が高いことが わかってきました。睡眠不足や不眠を解決することで、生活習慣病の発症を予防できると されています。
睡眠時に息の通りが悪くなって呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群は、治療しないでおく と高血圧、糖尿病、ひいては不整脈、脳卒中、虚血性心疾患、歯周疾患などの危険性を高めます。
睡眠時無呼吸症候群は、過体重や肥満によって、睡眠時に気道(喉の空気の通り道)が 詰まりやすくなると、発症したり、重症化したりします。睡眠時無呼吸症候群の予防のた めには、肥満にならないことが大切です。
○第 4 条 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
眠れない、睡眠による休養感が得られないのは、こころのSOSの場合があります
睡眠による休養感がなく、日中もつらい場合、うつ病の可能性も
寝つけない、熟睡感がない、早朝に目が覚めてしまう、疲れていても眠れない等の不眠 症状は、こころの病の症状として現れることがあります。特に、眠っても心身の回復感が なく、気持ちが重たく、物事への関心がなくなり、好きだったことが楽しめないといった ことが続く場合には、うつ病の可能性があります。
うつ病になると 9 割近くの人が何らかの不眠症状を伴い、中でも睡眠による休養感の欠 如は、最も特徴的な症状と考えられています。また、不眠の症状がある人は、うつ病にか かりやすいということも知られるようになりました。うつ病に限らず、睡眠時間が不足し ていたり、不眠症のため寝床に就いても眠れなかったりして、睡眠による休養感が得られ なくなると、日中の注意力や集中力の低下、頭痛やその他のからだの痛みや消化器系の不 調などが現れ、意欲が低下することが分かっています。
○第 5 条 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
必要な睡眠時間は人それぞれ
睡眠時間は加齢で徐々に短縮
年をとると朝型化 男性でより顕著
日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番
日本の成人の睡眠時間は 6 時間以上 8 時間未満の人がおよそ 6 割を占め、これが標準的 な睡眠時間と考えられます。睡眠時間は、日の長い季節では短くなり、日の短い季節では 長くなるといった変化を示します。
夜間に実際に眠ることのできる時間、つまり一晩の睡眠の量は、成人してからは加齢す るにつれて徐々に減っていきます。夜間の睡眠時間は 10 歳代前半までは 8 時間以上、25 歳 で約 7 時間、その後 20 年経って 45 歳には約 6.5 時間、さらに 20 年経って 65 歳になると 約 6 時間というように、健康で病気のない人では 20 年ごとに 30 分ぐらいの割合で減少し ていくことが分かっています。一方で、夜間に寝床で過ごした時間は、20〜30 歳代では 7 時間程度ですが、中年以降では長くなり、75 歳では 7.5 時間を越えます。
昔から、年をとると徐々に早寝早起きの傾向が強まり、朝型化することが知られていま すが、加齢による朝型化は男性でより強いことが分かっています。
個人差はあるものの、必要な睡眠時間は 6 時間以上 8 時間未満のあたりにあると考える のが妥当でしょう。睡眠時間と生活習慣病やうつ病との関係などからもいえることですが、 必要な睡眠時間以上に長く睡眠をとったからといって、健康になるわけではありません。 年をとると、睡眠時間が少し短くなることは自然であることと、日中の眠気で困らない程 度の自然な睡眠が一番であるということを知っておくとよいでしょう。
○第 6 条 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
自分にあったリラックス法が眠りへの心身の準備となる
自分の睡眠に適した環境づくり
習慣としている自分の就寝時刻が近づくと、脳は目覚めた状態から徐々にリラックスし た状態に移り、やがて、睡眠に入っていきます。スムーズに眠りへ移行するには、このよ うな、就寝前の脳の変化を妨げないように、自分にあったリラックスの方法を工夫するこ とが大切です。例えば、入浴は、ぬるめと感じる湯温で適度な時間、ゆったりとするとよ いでしょう。
良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。寝室や寝床の中の温度や湿度は、体温調 節の仕組みを通して、寝つきや睡眠の深さに影響します。環境温が低過ぎると手足の血管 が収縮して、皮膚から熱を逃がさず体温を保とうとします。また、温度や湿度があまり高 いと発汗による体温調節がうまくいかずに、皮膚から熱が逃げていきません。どちらも、 結果的に、身体内部の温度が効率的に下がっていかないために、寝つきが悪くなります。 温度や湿度は、季節に応じて、眠りを邪魔しないと範囲に保つことが基本で、心地よいと 感じられる程度に調整しましょう。また、明るい光には目を覚ます作用があるため、就寝 前の寝室の照明が明るすぎたり、特にこれが白っぽい色味であったりすると、睡眠の質が 低下します。就寝時には、必ずしも真っ暗にする必要はありませんが、自分が不安を感じ ない程度の暗さにすることが大切です。気になる音はできる範囲で遮断する方がよいでし ょう。
○第 7 条 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
子どもには規則正しい生活を
休日に遅くまで寝床で過ごすと夜型化を促進
朝目が覚めたら日光を取り入れる
夜更かしは睡眠を悪くする
思春期になると、子どもたちは夜更かしをするようになります。思春期から青年期にか けては睡眠の時間帯が遅れやすい時期ですが、さらに通学時間が長いことなどにより、こ うした傾向が助長されます。
若年世代では、平日と比べて、休日は起床時刻が 2〜3 時間程度遅くなることが世界的に 示されています。これは平日の睡眠不足を解消する意味がありますが、一方で体内時計の リズムを乱すことから、休日後、登校日の朝の覚醒・起床を困難にさせることになります。 起床時刻を 3 時間遅らせた生活を 2 日続けると、高校生では体内時計が 45 分程度遅れるこ とがわかっています。こうした休日の睡眠スケジュールの遅れは、夏休みなどの長期休暇 後に大きくなります。
1 日の覚醒と睡眠のタイミングを司っている体内時計は、起床直後の太陽の光を手がかり にリセットし、1 日の時を刻んでいます。光による朝のリセットが毎朝起床直後に行われな いと、その夜に寝つくことのできる時刻が少しずつ遅れます。起床時刻が遅くなることで 夜型化してしまう原因は、朝、暗いままの寝室で長い時間を過ごすことで、起床直後の太 陽光による体内時計のリセットがうまく行えないことにあります。このリセットが行えな いために、夜の睡眠の準備が遅れ、さらに朝寝坊の傾向を助長してしまうのです。
また、若年世代では、夜更かしが頻繁に行われることで、体内時計がずれ、睡眠時間帯 の不規則化や夜型化を招く可能性があります。寝床に入ってから携帯電話、メールやゲー ムなどに熱中すると、目が覚めてしまい、さらに、就床後に、長時間、光の刺激が入るこ とで覚醒を助長することになるとともに、そもそも、夜更かしの原因になるので、注意が 必要です。
○第 8 条 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
日中の眠気が睡眠不足のサイン
睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させる
睡眠不足が蓄積すると回復に時間がかかる
午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善
必要な睡眠時間は、個人によって大きく異なり、また、年齢によっても変わります。一 人ひとりが、自分に必要な睡眠時間を知ることが大切です。自分の睡眠時間が足りている かどうかを知るためには、日中の眠気の程度に注意するとよいでしょう。日中の仕事や活 動に支障をきたす程度の眠気でなければ、普段の睡眠時間は足りていると考えられます。
勤労世代では、必要な睡眠時間が確保しにくいこともあるため、特に、勤務形態の違い を考慮しつつも、十分な睡眠を確保する必要があります。睡眠不足は、注意力や作業能率 を低下させ、生産性を下げ、事故やヒューマンエラーの危険性を高めます。自分では眠気 による作業能率の低下に気が付かないこともあります。忙しい職場では、睡眠時間を削っ て働くこともあるかもしれませんが、それが続くと知らず知らずのうちに作業能率が低下 して、さらに、産業事故などの危険性が増すことがあります。
睡眠不足が長く続くと、疲労回復は難しくなります。睡眠不足による疲労の蓄積を防ぐ ためには、毎日必要な睡眠時間を確保することが大切です。睡眠の不足を休日などにまと めて解消しようとすることを「寝だめ」と呼ぶことがあります。しかし、沢山眠っておく とその後の睡眠不足に耐えられるということはなく、「睡眠」を「ためる」ことはできませ ん。睡眠不足が蓄積されてしまうと、休日にまとめて睡眠をとろうと試みても、睡眠不足 による能率の低下をうまく補うことはできません。また、睡眠不足の解消のために、休日 に遅い時刻まで眠っていると、光による体内時計の調整が行われないために生活が夜型化 して、日曜の夜の入眠困難や月曜の朝の目覚めの悪さにつながります。
毎日十分な睡眠をとることが基本ですが、仕事や生活上の都合で、夜間に必要な睡眠時 間を確保できなかった場合、午後の眠気による仕事の問題を改善するのに昼寝が役に立ち ます。午後の早い時刻に 30 分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に 効果的です。
○第 9 条 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る
年齢にあった睡眠時間を大きく超えない習慣を
適度な運動は睡眠を促進
健康に資する睡眠時間や睡眠パターンは、年齢によって大きく異なります。高齢になる と、若年期と比べて必要な睡眠時間が短くなります。具体的には、20 歳代に比べて、65 歳 では必要な睡眠時間が約 1 時間少なくなると考えられています。したがって、年齢相応の 適切な睡眠時間を目標に、就寝時刻と起床時刻を見直し、寝床で過ごす時間を、適正化す ることが大切です。長い時間眠ろうと、寝床で過ごす時間を必要以上に長くすると、かえ って睡眠が浅くなり、夜中に目覚めやすくなり、結果として熟睡感が得られません。適切 な睡眠時間を確保できているかを評価する上では、日中しっかり目覚めて過ごせているか も一つの目安になります。
日中に長い時間眠るような習慣は、昼夜の活動・休息のメリハリをなくすことにつなが り、夜間の睡眠が浅く不安定になりがちです。一方で、日中に適度な運動を行うことは、 昼間の覚醒の度合いを維持・向上し、睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることに役立 ち、主に中途覚醒の減少をもたらし、睡眠を安定させ、結果的に熟睡感の向上につながる と考えられます。
また、運動は、睡眠への恩恵のみならず、加齢により低下する日常生活動作(ADL) の維持・向上や、生活習慣病の予防にも寄与します。ただし、過剰な強度の運動はかえっ て睡眠を妨げ、けがなどの発生にもつながる可能性があるため、まずは無理をしない程度 の軽い運動から始めることがよいでしょう。
○第 10 条 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
眠たくなってから寝床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
眠ろうとする意気込みが頭を冴えさせ寝つきを悪くする
眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
寝つける時刻は季節や日中の身体活動量などにより変化し、一年を通じて毎日同じ時刻 に寝つくことが自然なわけではありません。就寝する 2〜3 時間前の時間帯は一日の中で最 も寝つきにくい時間帯です。不眠を経験すると、心配になって早くから寝床に就こうとし がちですが、意図的に早く寝床に就くと、かえって寝つきが悪くなります。就床時刻はあ くまで目安であり、その日の眠気に応じて「眠くなってから寝床に就く」ことがスムーズ な入眠への近道です。
眠たくないのに無理に眠ろうとすると、かえって緊張を高め、眠りへの移行を妨げます。 自分にあった方法で心身ともにリラックスして、眠たくなってから寝床に就くようにする ことが重要です。特に、不眠を経験し「今晩は眠れるだろうか」という心配を持ち始める と、このことによって緊張が助長され、さらに目がさえて眠れなくなってしまいます。つ まり、不眠のことを心配することで不眠が悪化するのです。こうした場合、いったん寝床 を出て、リラックスできる音楽などで気分転換し、眠気を覚えてから、再度、寝床に就く ようにするとよいでしょう。寝床に入る時刻が遅れても、朝起きる時刻は遅らせず、でき るだけ一定に保ちましょう。朝の一定時刻に起床し、太陽光を取り入れることで、入眠時 刻は徐々に安定していきます。
眠りが浅く何度も夜中に目が覚めてしまう場合は、寝床で過ごす時間が長すぎる可能性 が考えられます。からだが必要とする睡眠時間は、成人の目安としては、6 時間以上 8 時間 未満であり、このくらいの睡眠時間の人が最も健康だということがわかっています。必要 以上に長く寝床で過ごしていると、徐々に眠りが浅くなり、夜中に目覚めるようになりま す。特に退職後に、時間にゆとりができた場合など、生活の変化がきっかけとなって、必 要以上に長く寝床で過ごしてしまうことがあります。また、不眠でよく眠れないことを補 おうとして、寝床で長く過ごすようになる人もいますが、必要以上に長く寝床で過ごして いると、さらに眠りが浅くなり、夜中に何度も目覚めるようになります。対処としては、 積極的に遅寝・早起きにして、寝床で過ごす時間を適正化することが大事です。
○第 11 条 いつもと違う睡眠には、要注意。
睡眠中の激しいいびき・呼吸停止、手足のぴくつき・むずむず感や歯ぎしりは要注意
眠っても日中の眠気や居眠りで困っている場合は専門家に相談
睡眠中の心身の変化には、専門的な治療を要する病気が隠れていることがあるため、注 意が必要です。睡眠中の激しいいびきは、喉のところで呼吸中の空気の流れが悪くなって いることを示すサインであり、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠中の呼吸に関連した病気の 可能性があり注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療を受けることで症状が 改善し、高血圧や脳卒中の危険性が減ることも示されています。このため、睡眠時無呼吸 症候群の予防と早期発見が重要です。また、就寝時の足のむずむず感や熱感はレストレス レッグス症候群、睡眠中の手足のぴくつきは周期性四肢運動障害の可能性があります。こ れらの病気があると、一定時間眠っても休息感が得られず、日中に異常な眠気をもたらす ことがあります。さらに、睡眠中の歯ぎしりがある人は顎関節の異常や頭痛を持つことが 多いことが示されています。いずれも医師や歯科医師に早めに相談することが大切です。
また、うつ病の多くでは、寝つきが悪く、早朝に目が覚めたり、熟睡感がないなどの特 徴的な不眠を示します。こうした特徴的な睡眠障害を初期のうちに発見し適切に治療する ことは、うつ病の悪化を予防することにつながります。きちんと睡眠時間が確保されてい ても日中の眠気や居眠りで困っている場合は、ナルコレプシーなどの過眠症の可能性もあ るので、医師による適切な検査を受け、対策をとることが大切です。
○第 12 条 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
専門家に相談することが第一歩
薬剤は専門家の指示で使用
寝つけない、熟睡感がない、十分に眠っても日中の眠気が強いことが続くなど、睡眠に 問題が生じて、日中の生活に悪い影響があり、自らの工夫だけでは改善しないと感じた時 には、早めに専門家に相談することが重要です。例えば、ひとり夜眠れないでいることは つらいだけでなく、孤独感を感じるものです。そのつらさは家族にもなかなかわかっても らえないことがあります。そのため、相談できる人を持つことは大きな助けとなります。 苦しみをわかってもらうだけでも気持ちが楽になり、さらに、睡眠習慣についての助言を 受けることで睡眠が改善する手立てをみつけることができる可能性があります。また、よ く眠れない、あるいは日中眠たくて仕方ないなどと感じたら、それは「からだやこころの 病」の兆候かもしれません。身近な専門家(医師、保健師、看護師、助産師、薬剤師、歯科 医師、管理栄養士、栄養士など)に相談することが大切です。
睡眠薬などの薬を用いて治療を受ける際は、医師に指示された用法や用量を守り、薬剤 師から具体的な服薬指導を受けることが重要です。また、薬とお酒とを一緒に飲まないこ とは特に重要です。お酒と睡眠薬を同時に飲むと、記憶障害、もうろう状態等が起こる可 能性があり、危険です。疑問や不安ある場合、睡眠薬を飲み始めて気になる症状が出た場 合には、医師や薬剤師に相談しましょう。
情報提供(リンク集)
○厚生労働省: 「生活習慣病予防のための健康情報サイト(e-ヘルスネット) 休養・心の健康」
○厚生労働省:「健康寿命を延ばそう~スマート・ライフ・プロジェクト~」 良い睡眠で、カラダも心も健康に。