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わたしたちの健康2009年12月 虫垂炎
執筆者:岡田 了祐(おかだ りょうすけ)
虫垂炎とは
大腸の始まりの部分である盲腸の先端にぶら下がっている、直径1cm以下で長さ5~10cmの細い管のようなものが虫垂です。この虫垂が炎症を起こして腫(は)れてしまった状態が「虫垂炎」です。一般に「盲腸」といわれている病気ですが正しくは「虫垂炎」といいます。
原因は、糞石(ふんせき)(便の塊)や異物、腫瘍(しゅよう)などにより虫垂が詰まってしまい、そこに腸内細菌の感染が起こることにより発生するといわれています。また、動物性たんぱく質への腸内アレルギーが原因とする説や、自律神経の失調を原因とする説などもありますが、原因はいまだに特定されていません。
虫垂炎の発症に男女差はありませんが、10~30代の若い世代に多い病気です。しかし、高齢者や6歳以下の小児にも起こることはあります。
症状
典型的な例では、発症初期の自覚症状として吐き気、ズキズキ・シクシクと表現される連続的な上腹部やへそのあたりの疼(うず)くような痛みや不快感がみられます。この段階では、胃腸炎や胃・十二指腸潰瘍(かいよう)などと区別は困難です。病気の進行とともに、37~38℃の発熱があり痛みは右下腹部に限局してきます。へそから右の腰骨までの線上の外側3分の1の部位に相当する「マックバーネー点」と呼ばれる部分の痛みが特徴的です。しかし、(特に小児や高齢者に多いのですが)典型的な症状や経過とならない例も多くみられます。
同じように右下腹部に痛みのある病気には大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)、尿管結石、女性では卵巣出血、卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)、子宮外妊娠などがあり、鑑別が必要です。
診断と検査
腹部の診察と症状から診断されます。ほかに発熱の確認と末梢血(まっしょうけつ)での白血球増加の確認をします。血液検査では、10,000を超える白血球数の増加が90%みられます。
腹部レントゲン、腹部の超音波検査やCTスキャンは、初期の段階でははっきりとした所見はみられませんが、炎症が進行した場合では、腫れている虫垂が確認できることがあります。
治療
虫垂炎は炎症の程度により軽いものからカタル性虫垂炎、蜂窩織炎性(ほうかしきえんせい)虫垂炎、壊疽性(えそせい)虫垂炎に分類されます。自覚症状が軽いものや、カタル性虫垂炎と診断されたものは内科的治療が選択されます。「薬で散らす」といわれる方法で、入院、絶食、点滴、抗菌剤の投与で治療します。しかし、場合によっては時間とともに症状が悪化し、手術となることもあります。内科的治療で一度治っても、再発することもあります。ある研究では、内科的治療で治った患者さんの約40%に再発がみられたとの報告もあります。
腹部症状が強いもの、腹膜炎を起こしているもの、蜂窩織炎性虫垂炎や壊疽性虫垂炎は外科的治療が選択されます。腰椎(ようつい)麻酔又は全身麻酔で右下腹部を切開し、虫垂を切除する手術方法です。炎症が盲腸にまで及んでいる場合は虫垂だけでなく、盲腸も切除しなければならない場合があります。
近年、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術での虫垂切除を行っている病院もあります。入院期間が短い、術後の傷の痛みが少ないなどの利点がある一方、手術時間が長い、費用が高いなどの欠点があります。また、過去に開腹手術を受けたことのある人や、病状によってはできない場合があります。
経過が良ければ手術後1週間以内に退院できます。しかし、治療前の炎症が強く、穿孔(せんこう)(やぶけること)が起こると治るまでに時間がかかります。右下腹部痛、発熱がみられたら早めに医師の診察を受けましょう。
昭和47年ごろから、朝霞地区医師会に寄稿いただき、朝霞・新座・和光・志木の四市広報に「わたしたちの健康」と題し、市民向けの医学情報を提供しています。
原稿の執筆は、朝霞地区医師会に所属する開業医又は病院の、実際にこの地で日々診療にあたり、毎日患者さんと接している医師が担当しており、高齢者から若い方まで幅広い人々を対象とした内容を、理解しやすい文章でお届けするよう心がけています。皆さんの毎日の健康にお役立てください。
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