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わたしたちの健康2009年2月 花粉症
執筆者:佐内 明子(さない あきこ)
くしゃみ、鼻みず、鼻づまり。涙眼、頭痛、倦怠感。春の花粉症の季節がもうじきやってきます。今回は花粉症のお話です。
花粉症の定義:植物の花粉が原因となる季節性の鼻アレルギーの総称です。国により、地方により、季節により、原因となる花粉の種類は様々です。春(関東では2月から4月)に大量に飛ぶスギ花粉がもっとも有名で、日本人の13-16%が罹患していると言われ、今や花粉症の代名詞になっていますね。ほかには、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ハンノキなどがあります。これに対して、1年中飛んでいるダニやハウスダストなどが原因となる通年性鼻アレルギーというものもあります。
発症のメカニズム:花粉(抗原)が、人の鼻の粘膜に侵入すると、その抗原と結合する性質を持った抗体(特異的IgE)が血液の中に作られます(ただし、全員に作られるわけではありません)。抗体を持っている人の鼻の中に再び抗原が入って来ると、抗原抗体反応という複雑な反応によって、いろいろな化学物質が鼻の粘膜の中に放出されます。ヒスタミンとロイコトリエンが有名です。ヒスタミンが神経末端を刺激するとくしゃみが起こり、鼻腺からは鼻みずが分泌されます。また、血管が刺激されると血流がうっ滞したり、血管透過性が亢進して組織が浮腫を起こしたりして鼻づまりが起こります。
診断
くしゃみ、鼻みず、鼻づまりといった典型的な3つの症状があり、鼻汁好酸球検査、皮膚テスト(又は血清IgE抗体検査)、誘発テスト(抗原を鼻の中にまいて、鼻炎の症状が出るかどうかを見る)のうち二つ以上が陽性なら確定診断できます。風邪や血管運動性鼻炎、好酸球性鼻炎など花粉症と紛らわしいものがありますので、勝手に花粉症と決めつけないで、一度は専門医のもとできちんとした診断を受けましょう。また、風邪は花粉症の症状を悪化させます。
治療
抗原回避
一番大切なのは花粉を近寄せないことです。花粉情報に注意し、多く飛んでいる日は外出を避ける。外出するときは、マスクをし、花粉が付着しやすい毛織物などの服を着ない。帰宅したら、上着のホコリを良く落として室内に花粉を持ち込まない。シーズン中はできるだけ窓をしめる。布団や洗濯物をなるべく外に干さない。など、日常の注意でずいぶん症状は軽減できます。
薬
花粉症の治療は、発症のメカニズムの項で述べた複雑な反応の経路をどこかでブロックすることですから、最も多く使われるのが抗ヒスタミン薬で、これに抗ロイコトリエン薬や、遊離抑制薬、鼻噴霧用ステロイド薬などを組み合わせます。症状が出る前か後か、重症か軽症か、鼻づまりと鼻みずのどちらがつらいか、などによっても最適な薬が違ってきます。鼻閉に即効性がある鼻用血管収縮薬は、使いすぎると薬剤性鼻炎を起こして手術を余儀なくされる事があるので注意しましょう。
外科的治療
鼻閉の改善を目的として、レーザー治療や下甲介手術が行われています。詳しくは専門医に相談してください。
その他
特異的免疫療法といって、少量の抗原の皮下注射を繰り返し行う事によって、体質改善を期待し、症状を軽減させようという治療がありますが、重大な副作用もごくまれにあります。最近では、より安全な舌下免疫療法の開発が進んでいますが、まだ実用化されていません。
最後に
近年の花粉症人口の増加には、大気汚染や食品添加物、ストレスなど、現代人の生活環境の変化が大きく影響していることが、科学的にも証明されて来ました。鼻は外界の物質が人体に入ろうとするときの最初の関門です。くしゃみで花粉を排出し、鼻みずで洗い流し、鼻を塞いで(鼻づまり)侵入を防げて、私たちの身体を必死に守っている「鼻」が、とてもいとおしく思えませんか?
昭和47年ごろから、朝霞地区医師会に寄稿いただき、朝霞・新座・和光・志木の四市広報に「わたしたちの健康」と題し、市民向けの医学情報を提供しています。
原稿の執筆は、朝霞地区医師会に所属する開業医又は病院の、実際にこの地で日々診療にあたり、毎日患者さんと接している医師が担当しており、高齢者から若い方まで幅広い人々を対象とした内容を、理解しやすい文章でお届けするよう心がけています。皆さんの毎日の健康にお役立てください。
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