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わたしたちの健康2008年9月 気管支喘息(きかんしぜんそく)

2011年02月02日 16時55分

執筆者:西谷一晃

概念

 医療では、病気に対する概念が専門家でも異なったり、時代と共に変化していく事がしばしばあります。気管支喘息の基本概念も変化しています。以前は、気管支喘息は「可逆性のある気管支の収縮が基本的な病態である」と考えられ、気管支拡張薬が治療の主役でした。しかし、検査技術の進歩により、「慢性炎症こそが喘息の基本的病態である」事が解明されました。その炎症により気道の収縮や粘膜の腫脹が引き起こされ呼吸が苦しくなるのです。したがって、炎症を抑え、発作を予防する治療に変わってきています。

分類

 気管支喘息はアトピー型と非アトピー型とに分類され、アトピー型はダニやハウスダストなどの吸入抗原が認められるタイプで90%以上が5歳までに発症し、多くは遺伝的素因が関与していると言われています。このタイプでは20~30%が成人になるまで症状を持ち越してしまいます。この割合を減少させる為に早期介入(治療の早い段階から、環境の整備や適切な治療を行う事)が行われています。非アトピー型は40歳以上の成人に発症し、遺伝的な素因もなく、感染性、職業性などがありますが、それぞれ原因はまだはっきりしていないようです。

症状・検査

 喘息患者さんの訴えとしては、長引くせき、たん、胸部圧迫感、息苦しい、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)などで、発作時に短時間あるいは数日間持続します。症状は夜間から明け方に多く、慢性化した重症例を除いて、非発作時は無症状です。喘息にだけ特有の症状はなく、他の疾患を除外しなければいけませんが、以下の様に症状の出現に特徴があります。 

(a)特定の場所など誘因の存在(ほこりの多い部屋、犬や鳥と接触するなど)
(b)同じ季節(秋(台風が来ている時など)、春に多いなど)
(c)かぜにかかってもいないのに2週間以上せきが続く
(d)運動の後にせきなどの症状がでる。

 検査としては血液検査、たんの検査、呼吸機能検査(空気の出しやすさ、元気な時と比較して判断する)、胸部レントゲン写真などがあります。

小児の喘息について

 小児喘息の概念や病態は成人の喘息とほぼ共通していると考えられています。しかし、小児喘息には次のような特徴があります。

  1. 乳児、幼児では自覚症状を表現することができない。
  2. 特に乳幼児では検査が十分に施行できず、病状を把握することが困難で、保護者や医療者の観察や推測により判断される(呼気の延長を伴う喘鳴を3回以上反復する場合、臨床的、暫定的に喘息と診断されます)。
  3. 気道の径が細く、呼吸筋の働きが未熟である。
  4. 気道感染が多い。
  5. 分泌物がたまりやすく、気道の閉塞を起こしやすい。
  6. 気管支拡張薬に対する反応が悪い。
  7. 慢性的な発作が持続することは少なく、時々の発作が頻発し、発作の好発時期と比較安定した時期を繰り返す季節 的変化を示す例が多い。

治療

 治療には、根本的な気道の炎症を抑制し、喘息発作を起こさない様にするタイプ(コントローラーと呼ばれる)と出てしまった症状を対症的に抑えていくタイプ(リリーバーと呼ばれる)とに分けられます。コントローラーの代表は吸入ステロイドで、この吸入ステロイドの利用によって喘息患者さんの管理は格段に向上しました。以前はステロイドと言うと副作用が心配されましたが、吸入で使用することによって直接気管支に薬を効かせるために投与量が減少しました。そのため全身への作用は激減し、通常の使用量ではまず問題なく使用できるようになりました。しかし、この吸入ステロイはすぐには効きませんので、発作が起こった時には気管支拡張剤などのリリーバーとの併用が必要になります。正しい治療を継続することにより、十分な夜間睡眠を可能とし、健康人と変わらない日常生活が送れ、正常な発育が保たれることが大切です。

 


 昭和47年ごろから、朝霞地区医師会に寄稿いただき、朝霞・新座・和光・志木の四市広報に「わたしたちの健康」と題し、市民向けの医学情報を提供しています。

 原稿の執筆は、朝霞地区医師会に所属する開業医又は病院の、実際にこの地で日々診療にあたり、毎日患者さんと接している医師が担当しており、高齢者から若い方まで幅広い人々を対象とした内容を、理解しやすい文章でお届けするよう心がけています。皆さんの毎日の健康にお役立てください。

内容についてのお問い合わせは、朝霞地区医師会(電話048-464-4666)へご連絡ください。

お問い合わせ

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